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気まぐれ不定期更新。 ネットゲームのプレイ日記やらなにやら。 最近はドラゴンネストが中心。E2は付いていけなかった。
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09.21.19:21

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  • 09/21/19:21

09.20.00:15

『慈悲の一撃』 その1

……よう。俺だ。
これから書くのはクソッタレな話だ。どうしようもなくクソッタレな話。

慈悲の一撃。
戦場で手の施しようのない傷を負った兵士に、上官や仲間が与えてやれる最後の施し。
つまり、とどめを刺して楽にしてやる一撃のことだ。
適当な言葉が見つからねーんで、俺は勝手にそう呼んでる。

苦痛を無駄に引き伸ばさせず、安らかに眠らせてやれる。
こいつは確かに慈悲深いもんだ。
今のご時世、コイツに救われた奴らも多いんじゃねーかと思う。
死んで化け物になるくらいだったら、人間として。
そう思う奴もきっと多いはずだ。

……彼女も、きっとそうだったと思いてぇ。

何があったかを話す前に、俺が避難所に来るまでことを少し書いておかないといけねぇ。

――俺が避難所にやってくる時、一緒になった連中がいた。
混乱する街の中、俺たちを避難所に誘導しにきた警備員のビリー。
バイオスフィアの人間だと主張していたデイビッドとレイラ。
強面のジェフリー、皮肉屋のエミリオに東洋人の『ドクター』。
よく謎めいたことを言うビンセントに、赤ん坊連れのベティ。
それに俺を合わせた9人は、何とか避難所へとたどり着いた。
だが、そこも到底安全とは言いがたかった。これはもう前に書いたな。

そこで三日ほど過ごした日のことだった。
相変わらず警備会社の連中は何の説明もせず、
避難してきた連中にも不満と不安が充満し始めた頃だ。
不意に遠くから銃声と爆発音が聞こえてきた。
血相を変えて駆け出していく警備員たち。
避難民の間にはパニックが広がった。
音の響き具合からして、距離は数キロとさほど離れていない。
これが異変によって暴徒と化した略奪者たちの襲撃でなければ、
やってきたのは奴ら……そう、変異体しかありえない。

俺が気にしていたのはベティとその赤ん坊だった。
避難所に向かう道中、彼女は一言も愚痴をこぼさなかった。
少なくとも、デイビッドのように事あるごとに喚き散らしたりはな。
けれど、愚痴をこぼさないからと言って平気だというわけじゃねぇ。
当たり前だ。
こんな異常な状況(俺にはある程度慣れたモンだが)で、守るべき赤ん坊もいる。
それで平気でいられるはずがねぇ。
にも関わらず、彼女はいつも明るく楽天的に振舞っていた。
俺は正直、その肝っ玉に舌を巻いていた。
「母は強し」。そんな言葉を思い浮かべたもんだ。
そんな彼女は、爆発に驚いて泣き出した赤ん坊を懸命になだめていた。
こういう状況での赤ん坊の泣き声は、ただでさえささくれ立っている周囲を
さらに苛立たせるということを、彼女はよく理解していたようだった。

けれど、途切れずに響く爆発音のせいか、赤ん坊は中々泣き止まない。
そりゃそうだ。
なにせ、大の大人だって泣きてぇ状況なんだから。
俺は少し考えて、自分に支給されていた防寒用の耳カバーをベティに差し出した。
少なくとも、クソやかましい爆発音や銃声が聞こえにくくなれば、
多少は赤ん坊も安心できるはずだからな。
まあ、季節外れの代物だが、非常時にそんなことを気にする余裕なんてねぇ。

案の定、赤ん坊はピタリと泣き止んだ。
素直なもんだ。俺はそん時、苦笑を浮かべていたんだと思う。
泣き止んであどけない顔をしている赤ん坊を眺めるのは、そんなに嫌いじゃない。
ま、これが他人の子だからそう思えるのかも知れねぇが。

聞けば、赤ん坊の具合があまりよくないらしかった。
そのせいですぐに泣き出したりしてまうらしい。原因は不明。
それを告げた時、ベティはほんの少しだけ心細そうな顔をした。
旦那とはシェルターに避難する時にはぐれてソレっきり。
逃げ込んだのは吹けば飛ぶようなこの臨時避難所。
そして、すぐそばまで迫りつつある変異体の脅威。
これで心細くならないってぇなら、そいつは心臓に毛が生えてる。
彼女はそれでも気丈に笑った。
赤ん坊と一緒にシェルターに移れることを期待していたんだろう。
俺とベティはあれこれと互いのことを話しあった。
ただ不安に震えるよりは、世間話でもしていた方が気がまぎれて何倍もマシだ。
その時に、俺はベティに何か手伝えることはないか聞いた。
こう見えて、過去にそれなりの修羅場は潜ってる。
少なくとも、協力する姿勢すらみせない警備員どもよりかは役に立つ。

だが、彼女は明るく笑って首を横に振った。「今はいい」と。
そして、俺はベティと一つ約束をした。

『本当に大変な時が来たら助けてほしい』

俺はその時、軽い口調で請け負ったのを覚えている。
それが、彼女との最後の会話になることも知らずに、な。

……っと。まだ前置き部分だが……。長くなったな。続きはまた別の日に書くか。
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