04.27.23:05
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10.31.00:53
南瓜狩り
--行動報告書 No.3 2003/新宿 病院内にて--
ハロウィン。10月31日の夜に、子供らが魔女やお化けに仮装をして
家々を回ってお菓子をせびる祭り。
「Trick or treat!」が合言葉。
の、はずなんだが……。
どうなってんだ、今年のハロウィンは。
あれが、今年のジャック・オ・ランターンだってのか?
ふざけんな、とんでもねぇバケモノじゃねぇか!
------
事の起こりは、EL.PDの二階堂がやっちまった事だった。
奴さん、任務のお礼で「カボチャ」を貰ったらしい。
それが「逃げた」。ウィルスに感染して、変異したらしい。
動く死体に地底人、変異体ときて、今度はカボチャ。
ウィルスに感染したっていや、何でもOKだと思っちゃいねぇか?
まあ、いい。
俺はその逃げ出したカボチャの収穫に参加する事になった。
コイツが生み出す「子カボチャ」が、いい金づるになるって話を
同業者が話してるのを、ちらっと聞いたからだ。
金稼ぎの為に、下水に篭るのにうんざりしていた俺は、
すぐにこの話に飛びついた。
たかがカボチャ。そう思っていたのが運の尽きだった、って訳だ。
通りには、まだ時間も早いせいか同業者の姿はあまり見えなかった。
「ますます美味しい思いが出来る」。
そんな甘い事を考えながら、俺はカボチャを探して歩いた。
で、交番前で数人の同業者とドンパチやってる、
くだんのカボチャを見つけたんだが……。
まず見た目で呆れた。とにかくデカイ。
これが元はただのカボチャだって? 嘘付けってんだ。
しかも、どんな冗談なんだか、
そいつの顔には憎たらしい笑顔が彫られている。
マジでジャック・オ・ランターンのつもりらしい。
まあ、あのカボチャが何であれ、俺の金になるなら関係ない。
俺は手にした相棒を構えた。
事前に、連中の皮は呆れる程硬いって情報も仕入れていた。
だから選んだ相棒はHK69-A1。
本当なら、徹甲弾を撃てる得物でもありゃいいんだが。
残念ながら、俺は持っていない。
まあ、対戦車弾でも似たようなもんだ。そう気楽に考えて、
まずは手始めに子カボチャ目掛けて、ぶっ放す。
爆炎が上がった。
所詮カボチャ。一発ぶち込めばバラける。
そう思っていたんだが、甘かった。
あいつら、爆炎を物ともせずに歩いていやがる。
信じられねぇ。40mm対戦車弾だぞ?
普通なら……って、これは変異体の時も言ってたか。
考え方を変えねぇとダメだな。
最初の一撃を易々と凌がれて、俺は正直ちょっと焦った。
慌てて次弾を撃とうとした時だ。
俺の肩に鈍い痛みが走ったのは。
のろのろとした動きで肩を見てみれば、
そこには馬鹿でかい種が突き刺さっていやがる。
視線を上げれば、親カボチャの憎たらしい薄笑いが目に入る。
くそ、飛び道具まで持ってるなんて、聞いてねぇ。
俺はゆっくりと薄れていく意識の中で、そう悪態をついた。
------
で、今こうして病院のベッドでこれを書いている。
ついさっき聞いた話だが、カボチャ狩りの報酬は腕によって変わるらしく、
俺はその基準に届いていないと、区役所から来た担当者に言われた。
支払われたのは、弾代すら出ねぇはした金。
完璧な赤字だ。
美味い話にゃ裏がある。
こいつは至言だ。まったくもってその通り。
俺は今、その言葉の意味を噛み締めている。
くそったれめ。
------
ハロウィン。10月31日の夜に、子供らが魔女やお化けに仮装をして
家々を回ってお菓子をせびる祭り。
「Trick or treat!」が合言葉。
の、はずなんだが……。
どうなってんだ、今年のハロウィンは。
あれが、今年のジャック・オ・ランターンだってのか?
ふざけんな、とんでもねぇバケモノじゃねぇか!
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事の起こりは、EL.PDの二階堂がやっちまった事だった。
奴さん、任務のお礼で「カボチャ」を貰ったらしい。
それが「逃げた」。ウィルスに感染して、変異したらしい。
動く死体に地底人、変異体ときて、今度はカボチャ。
ウィルスに感染したっていや、何でもOKだと思っちゃいねぇか?
まあ、いい。
俺はその逃げ出したカボチャの収穫に参加する事になった。
コイツが生み出す「子カボチャ」が、いい金づるになるって話を
同業者が話してるのを、ちらっと聞いたからだ。
金稼ぎの為に、下水に篭るのにうんざりしていた俺は、
すぐにこの話に飛びついた。
たかがカボチャ。そう思っていたのが運の尽きだった、って訳だ。
通りには、まだ時間も早いせいか同業者の姿はあまり見えなかった。
「ますます美味しい思いが出来る」。
そんな甘い事を考えながら、俺はカボチャを探して歩いた。
で、交番前で数人の同業者とドンパチやってる、
くだんのカボチャを見つけたんだが……。
まず見た目で呆れた。とにかくデカイ。
これが元はただのカボチャだって? 嘘付けってんだ。
しかも、どんな冗談なんだか、
そいつの顔には憎たらしい笑顔が彫られている。
マジでジャック・オ・ランターンのつもりらしい。
まあ、あのカボチャが何であれ、俺の金になるなら関係ない。
俺は手にした相棒を構えた。
事前に、連中の皮は呆れる程硬いって情報も仕入れていた。
だから選んだ相棒はHK69-A1。
本当なら、徹甲弾を撃てる得物でもありゃいいんだが。
残念ながら、俺は持っていない。
まあ、対戦車弾でも似たようなもんだ。そう気楽に考えて、
まずは手始めに子カボチャ目掛けて、ぶっ放す。
爆炎が上がった。
所詮カボチャ。一発ぶち込めばバラける。
そう思っていたんだが、甘かった。
あいつら、爆炎を物ともせずに歩いていやがる。
信じられねぇ。40mm対戦車弾だぞ?
普通なら……って、これは変異体の時も言ってたか。
考え方を変えねぇとダメだな。
最初の一撃を易々と凌がれて、俺は正直ちょっと焦った。
慌てて次弾を撃とうとした時だ。
俺の肩に鈍い痛みが走ったのは。
のろのろとした動きで肩を見てみれば、
そこには馬鹿でかい種が突き刺さっていやがる。
視線を上げれば、親カボチャの憎たらしい薄笑いが目に入る。
くそ、飛び道具まで持ってるなんて、聞いてねぇ。
俺はゆっくりと薄れていく意識の中で、そう悪態をついた。
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で、今こうして病院のベッドでこれを書いている。
ついさっき聞いた話だが、カボチャ狩りの報酬は腕によって変わるらしく、
俺はその基準に届いていないと、区役所から来た担当者に言われた。
支払われたのは、弾代すら出ねぇはした金。
完璧な赤字だ。
美味い話にゃ裏がある。
こいつは至言だ。まったくもってその通り。
俺は今、その言葉の意味を噛み締めている。
くそったれめ。
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